2006年01月20日

続・ペレちゃんのおはなし。

お別れを言いに行った。

ペレは母親の毛布に包まれていた。運んだ先は動物霊園。
私の住んでる市には動物霊園が無いので、隣の市まで行った。
…まぁ、甲子園球場より近いからいいけど。

箱に入れられて、母親が手続きを済ませてる間にじっとペレを見つめていた。
十五歳。大往生。昔よりも痩せた姿。撫でると毛並みはガサガサしていた。
昨日も、今日だって撫でた猫よりもひんやりと冷たかった。
死んでいるから当たり前だけど…寒空と変わらなかった。
一段と冷えた空気。昨日か今日が寒さのピークだと誰かが言っていた。
こんな寒い日の、冷たいペレを忘れられないと思う。そんな日にペレが死んだ事も。
猫達が死んだ時も、身体はきっとこんな寒空のように冷たいんだろう。

数珠を前足にかけて、花束を添えて。箱に詰められお経を唱えて。
「動物にもお経は通じるのだろうか」と思ったが、お経は仏様に今から行く魂の事を報告する為にある事を途中で思い出した。
そして、魂にも天国へ行く方法や暮らし方を教える…んだっけ?
考えていると、終わっていた。

葬式の部屋から遺体を焼く部屋に移動して、そこで最期のお別れをする。

開けてもらった箱の中には、さっきと変わらないペレの姿があった。
当然だよ、動いて無いもん。もう動かないんだもん。
さっきのように撫でて、「ごめんね」と「ありがとう」を言った。
母親も泣いていた。私だって、母親が泣くのは数えるほどしか見た事が無い。
ましてや、昨日と今日、二日連続で見る事なんて今回が初めてだった。
無言で、撫でて、拝んで。…言いたい事は、心の中で言ったのだろうか。
今まで放って置いて、ごめんなさい。家に居てくれて、有難う。
…私の言いたい事は、それだけだった。

閉められた箱。運ばれるペレ。私は小さく手を振った。
本当に居なくなっちゃったんだね。そう言ったら、母親は頷いた。
帰りにもう一つ、花束を買った。

私達は家に帰って、もう誰も居ない犬小屋に花束を添えた。
哀悼の意を込めて。そして、このガレージの前を通る小学生達に死を伝える為に。
小学校から徒歩5分、通う子供の半分以上がこのガレージの前を通る。
彼らはひょっとしたら、私よりもペレを理解しているだろうから。


夜になっていた。学校から帰り、ガレージの前に立つ。
ペレの居ない犬小屋に「ただいま」と言った。
…そんな事は、小学生の頃の私でも滅多になかったのに。

忘れないだろう。
私と公園まで走ったあの日。雷が鳴ると心配した夜。
痩せこけた身体と知らなかった傷。寒空のような冷たさ。

最後にペレの散歩をした時、どれぐらい紐は軽かった?
去年の私は、雷が鳴った時何を感じた?
いつまでペレを放って置いた?
私はどれくらいペレの事が好きだった?

犬小屋の中に花束が一つ。昨日はペレがいた。一昨日はまだ動いてた。
ペレは今日の夕方に火葬されて、今は白い骨になっている。
幼稚園の頃にはいつか乗ろうと企んでた犬が、今はもう小さな箱の中に入るなんて。
…本当にペレはもういないんだなぁ、と実感した。


posted by 早月 at 22:13| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 様々な事を語ってみた | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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